Joshua Frank著「Atomic Days: The Untold Story of the Most Toxic Place in America」 books.macska.org/joshua-frank%E… マンハッタン計画の一部として長崎に投下された原子爆弾に使われたプルトニウムを生産したワシントン州南東部のハンフォード・サイトの歴史と、そのハンフォード・サイトによって… pic.twitter.com/ROrtytyX4F
posted at 06:06:44
…起こされた健康被害についての本。チェルノブイリ、スリーマイル島、福島といった地名に比べて広くは知られていないものの、ハンフォードは世界で最も汚染された地域の一つ、そして現在進行系で世界で最もお金をかけた除染や事故抑止のための活動が行われている現場でもある。…
posted at 06:06:44
…州内最大の都市シアトルからは少し離れているものの大きな事故が起きればアメリカ北西部全体が大きな影響を受けることは間違いなく、コロンビア川の下流に位置するオレゴン州ポートランドにとっては汚染物質の流出大きな懸念。ハンフォード・サイト建設のためにもともとそこにあった…
posted at 06:06:44
…ハンフォードやその周辺の小さな街の住民たちは立ち退きさせられ、そのかわりに原爆開発のためにマンハッタン計画で働く科学者や軍人らが集まった。現在最寄りの街となっているリッチランドの住民の一部も立ち退きさせられたが、それ以上に多くのハンフォード・サイトで働く人たちが流入し、…
posted at 06:06:45
…リッチランドの人口はマンハッタン計画の2年間で300人から2万5000人まで増加。いまでもリッチランドでは「原爆を作り第二次世界大戦を終わらせた街、アメリカを勝利に導いた街」としてのプライドが強く、街のいたるところで原爆やキノコ雲の意匠が見られる。…
posted at 06:06:45
…戦後、マンハッタン計画は解散させられたもの、ソ連とのあいだにはじまった冷戦のなか、さらなるプルトニウム生産と核開発の拠点としてハンフォード・サイトは稼働を続けたが、周囲に広がり始めた健康被害や、放射性廃棄物を冷却保存するためのタンクが足りずにタンクに許容上以上の…
posted at 06:06:45
…廃棄物を入れたり、事故でそれらが流出したり、ときには薄めて違法に施設外に放出するなどの事実は隠蔽された。それらは環境活動家や平和活動家、先住民運動やメディアなどによって年々明らかにされてきたものだ。わたしの知り合いにもリッチランドの近くで1960年代に育った人がいるが、…
posted at 06:06:45
…彼女は十代で珍しい癌にかかって治療を受けたことがある。もちろんそれがハンフォード・サイトと関係があるか証明することは難しいが、彼女によると同じような経験をした若い人が大勢いるという。ハンフォード・サイトの原子炉は1971年を最後に停止されたが、現在でも施設の地下トンネルには…
posted at 06:06:46
…大量の高温の放射性廃棄物がタンクの中で煮えたぎっており、現在でも1万人を超える職員が除染や廃棄物の管理で働いている。これらの廃棄物はこれから数百年、あるいは数千年にわたって冷却を絶やさず、経年劣化するタンクを移し替えながら安全に保存していかなければならない。…
posted at 06:06:46
…2017年にはトンネルの一部が崩壊する事故があり、結果的に放射性物質の流出は起きず現場にいた作業員以外には被爆の危険はないとされたが、あの時はわたし自身非常に危機感を感じて気象予報サイトなどで風向きなどを確認していた。…
posted at 06:06:46
…いま気候変動問題への解決策として、化石燃料を使わない原子力発電が再評価されつつある。核兵器開発と原子力発電は異なるという意見もあるが、放射性廃棄物の問題は共通しているし、その保存施設が安全保障上の弱点となる点や、その安全保障を口実とした隠蔽体質も共通している。…
posted at 06:06:46
…ポートランドとシアトルに長年住んできたわたしにとっては身近だけれど北西部に住んでいない多くの人たちには知られていないハンフォードの危険について、あらためて周知されてほしい。
posted at 06:06:47
Richard D Kahlenberg著「Excluded: How Snob Zoning, NIMBYism, and Class Bias Build the Walls We Don’t See」 books.macska.org/richard-d-kahl… アメリカの都市部で深刻化している家賃の高騰とホームレス人口の増加の原因を、階級差別によって生み出された法的な土地利用規制に見出し、… pic.twitter.com/vodPwlpjqf
posted at 06:53:47
…それを許容してきた都市リベラルの階級バイアスを批判する本。住居不足の大きな原因の一つとして、土地利用規制(ゾーニング)により一軒家が優遇され、必要な住宅が建設できない状況になっているからだという事実は、Jenny Schuetz著「Fixer-Upper」 books.macska.org/jenny-schuetz%… 、…
posted at 06:53:48
…M. Nolan Gray著「Arbitrary Lines」 books.macska.org/m-nolan-gray%e… 、Gregg Colburn & Clayton Page Aldern著「Homelessness Is a Housing Problem」 books.macska.org/gregg-colburn-… などでも指摘されてきたものであり、保守・リベラルを問わず多くの経済学者、都市学者、住宅活動家らの共通認識。…
posted at 06:53:48
…このところ多くの都市では選挙の際にゾーニング改革を掲げる候補者も増えており、一部の自治体では実際に改革がはじまっている。そういうなか本書の特徴は、どうして貧しい人たちを排除するゾーニングを実施しているのが、リベラルな有権者が多い都市部に集中しているのか、という疑問に…
posted at 06:53:49
…フォーカスしている点。トランプが作ろうとしていたメキシコとの「国境の壁」に反対しながら、また人種や性別を理由とした差別を批判しながら、貧しい人たちが階級によって都市部から排除されるような仕組みを都市リベラルが容認しているのは、かれらが教育の程度や職種による偏見を持っており、…
posted at 06:53:49
…それら階級的な条件を理由とした排除を否定しないばかりか、むしろ自分たちの住む地域に入ってきて欲しくないと思っているからではないか、と問う。ヒラリー・クリントンがトランプ支持者らを「唾棄すべき奴ら」と切り捨てたように、かれらは階級が下の人たちを見下しているのではないかと。…
posted at 06:53:49
…都市で一軒家に住むことができる経済的余裕のある人たちが同じように豊かな隣人を望み、自分たちの税金で運営される学校や公共施設を貧しい人たちと共用したくないと思っていたり、アパートなどの集合住宅が近所にできたら自分たちの持ち家の価値が下がったり騒音や交通渋滞が起きたり犯罪が…
posted at 06:53:50
…増えるからとそうした開発に反対するのは事実だと思うのだけれど、それが都市リベラルに特有の価値観に基づいているかというと疑問を感じる。保守派のお金持ちは自分が払った税金で作った施設を貧しい人と分け与えたいと思っているとか、自分の持ち家の価値が下がったり騒音や交通渋滞が起きても…
posted at 06:53:50
…仕方がないと思っているとは考えにくいし。まあ、リベラルな連中だって口先だけで、結局自分自身の快適な生活が一番大切なんだろ、という批判なら当たっていると思うけど。にんげんだもの。終盤では各地ではじまっているゾーニング改革の動きについて紹介されていて、…
posted at 06:53:50
…たとえばオレゴン州やカリフォルニア州のように民主党と共和党の議員がそうした動きで連携していると書かれている。ゾーニングは既得権益者のレントシーキングを温存する政府による市場への介入であり、それらを撤廃することはリバタリアン的な「小さな政府」の論理にも合致しているので、…
posted at 06:53:50
…共和党のなかにも確かに改革を支持する人たちはいるものの、全体から見ればそれらを支持している人の大部分は著者が批判している「都市リベラル」だ。2020年の選挙において郊外住民の支持を得ようと「バイデンが勝てば貧困者向けの住宅が建てられ郊外は消滅する」と www.nytimes.com/2020/07/29/us/… …
posted at 06:53:51
…人種差別的・階級差別的な扇動を行って非難されたのはトランプ大統領だったし、地方議会の選挙でもリベラルが規制緩和を訴えているのに対して保守は規制の温存を主張している。ゾーニングが問題であるのは著者に言われるまでもなく知ってるし、リベラルは口先だけじゃなくて階級による…
posted at 06:53:51
…排除についてもきちんと向き合えよというのはその通りだと思うのだけれど、2016年のトランプ当選以来死ぬほど繰り返されてきた「民主党(リベラル)は白人労働者階級を裏切った」的な安易なレトリックはもう飽きた。著者はことあるごとに人種差別を階級差別を比べて、人種差別の多くは…
posted at 06:53:51
…すでに解決されていていまでは人種そのものではなくそれと連携した階級差別によって黒人が苦しめられている、と言ったり、人種差別を解決するために役に立った反差別法やアファーマティヴ・アクションを階級にも適用すべきだ、…
posted at 06:53:52
…と繰り返すのだけれど、人種を元にしたアファーマティヴ・アクションが長年の攻撃の結果 books.macska.org/lee-c-bollinge… つい最高裁によって否定されたいま、何言ってんだという気も。
posted at 06:53:52
Giorgio Parisi著「In a Flight of Starlings: The Wonders of Complex Systems」 books.macska.org/giorgio-parisi… 2021年にノーベル物理学賞を受賞したイタリア人物理学者によるエッセイ。タイトルは「ムクドリの飛行」で、物理学者の本でなんでムクドリ?と思ったけれども、ムクドリの群れという… pic.twitter.com/9VQMqor54b
posted at 07:14:17
…複雑なシステムのなかで個々の個体がお互いとどのように距離を取るのか、そしてその集合としてどのように群れとして移動するのか、というところから、原子のような小さなものの動きがどのようにして全体に影響を与え、あるいは全体のまとまりを生み出しているのか、という物理学の話、らしい。…
posted at 07:14:17
…ムクドリやその他のたとえの話をしている部分はわかりやすいのに、スピングラスがどうとか具体的な物理学の話がはじまるとわたしには分からなくなってしまうのだけれど、興味がある人は日本物理学会のサイトにある「2021年ノーベル賞解説」 www.jps.or.jp/public/2021nob… を読んで。…
posted at 07:14:18
…さて本書は短いながらも著者の経歴や研究だけでなく、科学研究における直感の役割や科学論文におけるその抹消、科学的記述のなかにおける「たとえ話」の正しい使い方、そして文学やアートのように実用性ではなくそれ自体の価値を持つ科学のあり方など、…
posted at 07:14:18
…尊敬を集める物理学者だからこそ重みを持つ内容がたくさん。スピングラスや統計力学はやっぱりよく分からないけど、読む価値はあった。
posted at 07:14:18
Yasmine El Rashidi著「Laughter in the Dark: Egypt to the Tune of Change」 books.macska.org/yasmine-el-ras… 「アラブの春」のなか独裁者ムバラク大統領が打倒されたエジプト革命から12年、その後の選挙で選ばれたムルシー大統領が軍によるクーデターにより失脚してから10年経った現在、… pic.twitter.com/VkAgks8Ifw
posted at 07:48:04
…近年でもっとも厳しいとされる政府の検閲や言論弾圧のなか、若者たちがどのようにして社会に対する不満を表現しているか追ったドキュメント。エジプトは人口の六割を25歳以下が占める若い国で、12年前の革命では若者たちがツイッターを使って司令部を作らないまま連携して独裁政権を打倒したことが…
posted at 07:48:04
…話題となった。当時より厳しい規制により公に音楽活動をするにも政府の許可がいるいま、かれらはTikTokで日常の不満を訴えたり、YouTubeでマーラガーナと呼ばれるヒップホップとエジプト伝統音楽を融合させたストリートミュージックのジャンルの音源を発表するなどしている。…
posted at 07:48:05
…本書はマーラガーナのシーンについて詳しく書かれていて、どれだけ自分が稼いで贅沢な暮らしをしているか見せびらかすだけの軽薄な奴がいたり、音源を通したディスバトルが起きたりしていて、そういうのって世界共通なんだなあとおもしろいのだけれど、女性アーティストの存在にまったく…
posted at 07:48:05
…触れられていないのが気になった(TikTokにアップロードした動画が理由で収監された6人の女性については一瞬だけ触れられている)。「Arabs Got Talent」に出てパフォーマンスしたあとフェミニスト活動家としても知られるようになったMayam Mahmoudさん www.youtube.com/watch?v=L1MrA3… はじめ…
posted at 07:48:06
…エジプトにも女性ラッパーはいるんだから、彼女たちについても取り上げて欲しかった。
posted at 07:48:06
シアトル郊外フォレストレイクパークで「Hey, Hun: Sales, Sisterhood, Supremacy, and the Other Lies Behind Multilevel Marketing」 books.macska.org/emily-lynn-pau… 著者Emily Lynn Paulsonさんのイベント。マルチ商法でトップレベルに上り詰めたけどヤバさに気付いてやめた人の話。 pic.twitter.com/V9dCAKN9Hv
posted at 11:05:12
マルチ商法組織の経営者は大抵白人男性だけど、末端で勧誘している人の多くは白人女性。「主に男性のあいだに広まっているマルチ商法ってないんですか?」との質問に、すかさず「ビットコイン」と答えた著者すごい。マルチ商法ではないかもだけど確かに似てる…
posted at 12:12:15
いま本屋の前で帰りの車を待っているんだけど、駐車場なのにすごいスピードで走り抜ける車があると思ったら、そのすぐ後ろを2台のパトカーが追いかけていた。駐車場でのカーチェイスとか初めて見たわ… pic.twitter.com/GnseEOJRJT
posted at 12:56:44
コロンビアのゲイ男性の自叙伝と思って読み始めた本、いつのまにか手塚治虫から聖闘士星矢、ドラゴンボール、キャプテン翼を経てポケモンまで日本アニメ論が延々と続いているよ… これは予想外だったわ。
posted at 15:04:05