みなさま、お待たせしてないかもしれないけど2022年11月期のわたし的読書大賞発表のお時間です。今回もわたしが11月に読んだ21冊を次々と紹介していきます。より詳しい紹介は books.macska.org/2022/11 から。 pic.twitter.com/0Ax8aYWlBg
posted at 06:29:40
2022年11月のわた読大賞は既に押野さんが激推しされているのだけれどおもしろかったのでShanita Hubbard著「Ride-or-Die: A Feminist Manifesto for the Well-Being of Black Women」 books.macska.org/shanita-hubbar… です。黒人女性の著者がヒップホップの名曲とその影響や背景の分析を通して… pic.twitter.com/d8SQM64IZ6
posted at 06:29:41
…コミュニティ内における黒人女性の地位を論じる内容。読みやすいしクィア&トランスの黒人女性への連帯もいい。
posted at 06:29:41
個人史と政治的な分析を組み合わせた本はほかにも。メキシコ系アメリカ人女性のAlma Zaragoza-Pettyが書いた「Chingona: Owning Your Inner Badass for Healing and Justice」 books.macska.org/alma-zaragoza-… は、「チンゴナ」という自分の意見を持ったわきまえない女性を指す… pic.twitter.com/OeuKbJHlES
posted at 06:29:42
…ネガティヴなニュアンスを持った言葉をフェミニスト的なアイデンティティとして引き受け自分の生き方を追求していくマニフェスト。
posted at 06:29:43
Julian Aguon著「No Country for Eight-Spot Butterflies」 books.macska.org/julian-aguon%e… はグアム先住民で人権・環境活動家の弁護士が自身の経験を振り返りつつ、米軍基地や温暖化の影響から先住民の自治と健康を守る闘いについて書いた本。希望を持てなくなっている地元の若者たちへのスピーチも収録。 pic.twitter.com/q2dLzAIXaI
posted at 06:29:43
Leah Laksmi Piepzna-Samarasinha著「The Future Is Disabled: Prophecies, Love Notes and Mourning Songs」 books.macska.org/leah-laksmi-pi… は気候変動の結果大規模化した森林火災と大気汚染やコロナウイルス・パンデミックに社会が対処するうえで障害者の知識や経験がどのように役にたったか、… pic.twitter.com/pwnd1gEUvP
posted at 06:29:44
…そして多くの人が「普通」の生活を失い「障害を負う」経験をした大事件を受けディスアビリティ・ジャスティスの思想がどのように社会を変えていけるか語る本。
posted at 06:29:44
大麻合法化運動で有名な弁護士の父親を持ち、その父親に反発しつつ同じ道に進んだ著者Allison Margolinによる「Just Dope: A Leading Attorney’s Personal Journey Inside the War on Drugs」 books.macska.org/allison-margol… は、自身の経験から政府による「麻薬との戦争」の著しい弊害について語る本。 pic.twitter.com/C5CX4928mY
posted at 06:29:45
Marquis Bey著「Black Trans Feminism」 books.macska.org/marquis-bey%e8… は奴隷制や搾取からの集団的抵抗としての「逃散」をキーワードとして、人種化されたジェンダー制度からの逃散としてのブラックトランスフェミニズムを見出す本。黒人トランス女性やノンバイナリーの人たちの詩やアートの話も。 pic.twitter.com/D6RHkAqEoQ
posted at 06:29:46
今年の最高裁判決により権利の後退が進む妊娠中絶問題について2冊。Becca Andrews著「No Choice: The Destruction of Roe v. Wade and the Fight to Protect a Fundamental American Right」 books.macska.org/becca-andrews%… は今年の判決以前からもじわじわと女性の権利が削られていった経緯を… pic.twitter.com/ez1zNfFJp3
posted at 06:29:47
…振り返りつつ、常に攻撃を受けてきたリプロダクティヴ・ライツ運動の側も自らを守るためとはいえ内部の都合の悪い話を後回しにしてきたことを指摘。リプロダクティヴ・ジャスティス運動の今後を展望する。
posted at 06:29:47
Gabrielle Blair著「Ejaculate Responsibly: A Whole New Way to Think About Abortion」 books.macska.org/gabrielle-blai… は「責任持って射精しろ」というタイトルのとおり、意図しない妊娠の責任をただでさえ身体的な負担が避けられない女性でなくより簡単に避妊できる男性の側に負わせるべきだ、という本。 pic.twitter.com/E3lVkNaFl4
posted at 06:29:48
…女性がセックスをいくら楽しんでも男性が射精さえしなければ妊娠しないだろ、的なバズったツイートを膨らませた内容で、楽しく読めばいいと思う。
posted at 06:29:48
今月のフェミ本もう1冊。Joanna Bourke著「Disgrace: Global Reflections on Sexual Violence」 books.macska.org/joanna-bourke%… は性暴力についてのグローバルな歴史の本。序盤はありふれた内容なのだけれど、だんだん女性による戦時性暴力やトラウマ概念の植民地主義的な普及と弊害など、刺激的な内容も。 pic.twitter.com/O7J0NYhkrQ
posted at 06:29:49
政治本のコーナー。Anand Giridharadas著「The Persuaders: At the Front Lines of the Fight for Hearts, Minds, and Democracy」 books.macska.org/anand-giridhar… はリベラルや進歩派の政治家や政治活動家らが、どのようにして政治分極化に抵抗し、自分たちの考えを広めようとしているか紹介する内容。 pic.twitter.com/MO1yFWM6mn
posted at 06:29:50
Timothy Shenk著「Realigners: Partisan Hacks, Political Visionaries, and the Struggle to Rule American Democracy」 books.macska.org/timothy-shenk%… はアメリカ史においてたびたび起きてきた「政治再編」の立役者となった政治家や活動家らに注目して解説する本。… pic.twitter.com/jAtj6Eh9M7
posted at 06:29:51
…民主・共和両党のあいだで妥協や協調ができなくなっているのは両党の勢力が拮抗しすぎているからだ、という逆説的な指摘はおもしろい。
posted at 06:29:51
Sheldon Whitehouse上院議員の「The Scheme: How the Right Wing Used Dark Money to Capture the Supreme Court」 books.macska.org/sheldon-whiteh… は右派がどのようにして政治資金規制の抜け道を使って最高裁を手中に収めたか指摘する本。細かい事実を重ねて大きな企みを暴き出す元検察官ならではの論法。 pic.twitter.com/MBS9qUbimS
posted at 06:29:52
Kyle Spencer著「Raising Them Right: The Untold Story of America’s Ultraconservative Youth Movement and Its Plot for Power」 books.macska.org/kyle-spencer%e… は保守系の若者の運動の実像に迫る本。各地の大学では保守系財団の資金で保守団体の支部が設立され、わざわざ差別的な言動で知られる極右の… pic.twitter.com/d3QnQ50stU
posted at 06:29:52
…スピーカーを呼んで、それに対する抗議運動が起きれば「大学はリベラルに支配されていて保守が迫害されている」と右派メディアで宣伝する、というパターンが確立されていて、実際に同級生たちに保守の思想を広めて仲間を増やすよりメディアを使った場外戦に力を入れている感じ。
posted at 06:29:53
Michael J. Lee & R. Jarrod Atchison著「We Are Not One People: Secession and Separatism in American Politics Since 1776」 books.macska.org/michael-j-lee-… はアメリカにおける分離独立主義の歴史についての本。もともと英国による横暴を理由に独立を果たした米国だからこそ、… pic.twitter.com/paGBrM15PO
posted at 06:29:53
…分離独立の論理は説得力を持ち、リバタリアンから南部奴隷州、宗教的迫害を受けたモルモン教会までさまざまなグループが分離運動を起こした。ブラックナショナリズムやレズビアン分離主義の章も思ったよりちゃんと書けてる。
posted at 06:29:54
オバマによって連邦準備制度理事会議長に任命され、バイデン政権では財務長官を務めるジャネット・イエレンの伝記がJon Hilsenrath著「Yellen: The Trailblazing Economist Who Navigated an Era of Upheaval」 books.macska.org/jon-hilsenrath… 。政権のなかに入って政策の弊害をごまかすよう言われて… pic.twitter.com/gtkrFfygHL
posted at 06:29:55
…苦労した話やパートナーのジョージ・アカロフや元FRB議長ベン・バーナンキとの関係など興味深い内容。あとラリー・サマーズはクソだけどやっぱり天才なんだなあ。
posted at 06:29:55
人種問題について2冊。Emily Flitter著「The White Wall: How Big Finance Bankrupts Black America」 books.macska.org/emily-flitter%… はアメリカの金融業界が奴隷貿易の時代から現在まで、どのように黒人たちを財産(奴隷)として、顧客として、そして労働者として、搾取し食い物にしてきたかの歴史を… pic.twitter.com/Olpq70wNVI
posted at 06:33:54
…書いた本。奴隷貿易に融資したり保険をかけたり財産として奴隷を差し押さえて売り払ったりした歴史はもちろん、最近でも普通に銀行を利用しようとしただけで不正の疑いをかけられて警察を呼ばれるなど実例多数。
posted at 06:33:55
David E. Bernstein著「Classified: The Untold Story of Racial Classification in America」 books.macska.org/david-e-bernst… はアメリカ政府による制度的な人種の分類についての本。現在では白人、黒人、アジア系、北米先住民、そして太平洋系の5つの人種と「ヒスパニックか否か」という民族の分類が… pic.twitter.com/1Kl7ND2zKA
posted at 06:33:55
…存在するけれども、定義は一貫しておらず支離滅裂な運用も多々。著者によるそのおかしさの指摘は正しいのだけれど、かといってなくしてしまうのも心配。
posted at 06:33:56
インターネット系3冊。Josh O’Kane著「Sideways: The City Google Couldn’t Buy」 books.macska.org/josh-okane%e8%… はグーグルの子会社がトロントに建設しようとしたスマートシティの計画がどのようにして頓挫したかのドキュメント。市民生活の監視とそのデータの二次的利用や一企業が自治体の権限を行使し… pic.twitter.com/jSnRXXniWN
posted at 06:33:56
…利益を独占することへの批判などさまざまな理由で反対運動が起きたのだけれど、失敗した主な原因はそもそもの計画が杜撰で傲慢すぎただけのような気もする。
posted at 06:33:57
Ben Tarnoff著「Internet for the People: The Fight for Our Digital Future」 books.macska.org/ben-tarnoff%e8… は政府の予算によって作られたインターネットが民間に譲り渡され、囲い込まれ、巨大なデータ収集マシンに変貌した歴史をたどりつつ、市民の手のもとにインターネットを取り戻そうとする本。 pic.twitter.com/4dgbonWpY1
posted at 06:33:57
Christopher Slobogin著「Virtual Searches: Regulating the Covert World of Technological Policing」 books.macska.org/christopher-sl… は米国憲法修正4条で保障された「不合理な捜索」からの自由がテクノロジーによって脅かされている現状を指摘し、どのように市民のプライバシーを守るか提言する本。 pic.twitter.com/py9qd7SgPh
posted at 06:33:58
最後にMax H. Bazerman著「Complicit: How We Enable the Unethical and How to Stop」 books.macska.org/max-h-bazerman… 。企業や政治で逸脱行為をした当人たちの周囲にはそれを支え加担してしまった多くの人たちが存在する。著者は自身が不正に加担した経験をふまえて、そうした加担行為を防ぐ方法を考える。 pic.twitter.com/tXxOBNhy5s
posted at 06:33:59
以上、2022年11月に読んだ21冊でした!なんか数字の2と1だらけだね!恒例のスペースは、まだツイッターが存在していたら日本時間の日曜昼予定だよ! pic.twitter.com/C1gWdmoEb9
posted at 06:34:01
キャロル・リーさんが1983年に自主制作したジン、Autobiography of a Whoreを入手したうに。 pic.twitter.com/eKguYIAhRC
posted at 11:47:10
2020年の共和党のワシントン州知事候補で今年も下院議員選挙に立候補していた元警察署長(ただし警察署はワンオペ)が、5歳の頃から養父による性虐待を受けているという未成年の少女の告発を「この年頃の少女は自由を得ようと嘘をつく」として揉み消した件。 www.seattletimes.com/seattle-news/p… …
posted at 14:27:13
性虐待はほかの警察署によって証明され養父は逮捕、市は現在26歳の被害者に賠償金を支払った。ただし警察官はほぼなにをしても個人的な責任を問われない制度になっているおかげでかれ個人は責任を逃れたので「自分は悪くない」と主張。ちなみに以前このツイートで書いた人ね。twitter.com/emigrl/status/…
posted at 14:27:13