Derrick Jensen, Lierre Keith & Max Wilbert著「Bright Green Lies: How the Environmental Movement Lost Its Way and What We Can Do About It」 books.macska.org/derrick-jensen… 地球と生命に対する本質的な危険として産業文明を否定する環境団体ディープ・グリーン・レジスタンスの創始者及び… pic.twitter.com/uS7ZDXu6jZ
posted at 02:53:14
…中心メンバーによる現代の環境運動批判の本。最近は環境運動よりトランスジェンダー差別で話題になることが多いDGRだけど(というかトランスジェンダー差別を派手にやりすぎて思想的に近い環境団体からも関係を打ち切られている)、誰になんと思われても気にしない強みか議論はキレッキレの鋭さ。…
posted at 02:53:15
…「ブライト・グリーンの嘘」というタイトルの「ブライト・グリーン」とは、気候変動をはじめとする環境の危機は技術革新と社会的イノベーションで解決できる、という立場のこと。それはたとえばソーラーなど自然エネルギーの活用やリサイクリングの拡充・効率化など、産業文明を温存したまま、…
posted at 02:53:15
…あるいはむしろ推し進めることで迫りくる環境の危機を乗り越えようという考え方。そうした「技術革新」の実態について、著者らは具体的な数字を挙げて次々にそれらが現実離れした宣伝文句でしかないことを指摘、環境運動が自然を守るのではなく産業文明とそれによって成立する一部の先進国の…
posted at 02:53:15
…人間の快適な生活を守ろうとして「産業文明は持続可能である」という嘘を推進している、と批判する。序盤で著者らはこのように宣言する。「わたしたち3人の共著者たちだって、現代の医薬品がなければ死んでいました。しかしそれには地球上の生命という酷いトレードオフがあります。…
posted at 02:53:15
…どんな個人の利便性や命も、そのコストには見合いません」。著者らによれば、現代産業文明は資源の乱獲、自然破壊と多数の生命の殺害、先住民に対するジェノサイドや労働者の酷使、エネルギーの際限ない消費によって成り立っており、政府の助成金によってしか成り立たない…
posted at 02:53:16
…「持続可能なテクノロジー」はそれをさらに悪化させるだけ。いずれ産業文明は崩壊せざるをえないが、環境を限界にまで追い込んでからの崩壊は人間にもその他の生物にも被害が大きすぎるので、人々が自らの意思で産業文明を終わらせるべきだと主張する。…
posted at 02:53:16
…しかしそのために著者らのように現代医療を否定して自らの(そして愛する人たちの)死まで受け入れることができる人は多くないだろうし、実際には「誰の命を犠牲にするか」という生命の選択が現代以上に不公平になりそう。しかしもちろん、資源採掘の現場や途上国の工場、…
posted at 02:53:16
…そして気候変動の影響が既に強く見られる地域などにおいて、現代でも既に不公平な生命の選択が起きていることもまた事実。いまさら生活水準を何分の一かに落とすことも難しいし、技術革新に期待するしか「わたしたち(先進国の人間の)生活」を維持する見込みが立たないからといって、…
posted at 02:53:16
…ソーラーやジオエンジニアリングやリサイクリングが問題を解決してくれるという自分たちにとって都合のいい嘘にすがり、そういった技術を約束する産業の利権獲得に協力してしまうのもまずい。わたし個人はさすがに著者らの考えに全面的に賛同してコミットするほどの覚悟はないけれど、今後影響は…
posted at 02:53:17
…受けそう。ところでDGRのトランス差別の件、もともとこの団体はJensen、Keithのほかにもう一人の創始者がいたのだけれど、その人はDGRによるトランスジェンダーの人たちへの攻撃に辟易して脱退、その後かれの立場におさまった様子なのがもうひとりの著者Wilbertらしく、最近はこの3人で…
posted at 02:53:17
…反トランス的な記事をラディカルフェミニストサイトに寄稿している。Jensenは以前、わたしの知り合いのトランス女性活動家を壁際に物理的に追い詰めたうえで、フェミニスト支持を自認する男性として、同じ「男性」の彼女の間違いを指摘して正す必要がある、として女性としての自認を否定しろと…
posted at 02:53:17
…迫ったことがあり(めっちゃ恐ろしい)、そういう人の本を紹介するのはどうかとも思ったけれど、本書の内容には関係ない(トランスの話は一切出てこない––差別の話をしているのに出てこないのもどうなんだという気もするけど)ので著者の反トランス主義について明記したうえで紹介することにした。
posted at 02:53:17
@rna 産業文明の崩壊は避けられないので、できるだけ道連れとなる自然や生命が少なくて済むように、より速やかな産業文明の停止に向けて暴力を含めた抵抗をする、という考えなのでは。なんばさんの言うところの「陰惨な結果」は、産業文明の延命に比べればそれほど大した陰惨さだとは思ってなさそう。
posted at 05:59:57
Walt Bogdanich & Michael Forsythe著「When McKinsey Comes to Town: The Hidden Influence of the World’s Most Powerful Consulting Firm」 books.macska.org/walt-bogdanich… 世界最高峰の経営戦略コンサルタント業者マッキンゼーの社会的影響についての調査報道に基づいた本。… pic.twitter.com/VkniOoggIL
posted at 12:39:27
…マッキンゼーは若い才能のあるMBA(経営学修士)取得者の就職先としてトップの人気を誇る企業でもあると同時に、そこを踏み台にしてさらなるキャリアを目指す出身者も多く、世界中に巨大なネットワークを築いていることでも知られる。また、とにかく大きなお金を動かして稼ぐことを誇る…
posted at 12:39:28
…ゴールドマン・サックスなど金融業界の人気企業に比べ、「世界を変える」というスタンスを打ち出すことでより理想主義的な求職者を引きつけている。その実態は守秘義務に守られてなかなか表には出てこなかったけれども、近年いくつかの国際的なスキャンダルの捜査においてマッキンゼーの…
posted at 12:39:28
…名前が出てきたり、理想主義を裏切られたと感じた元関係者らの証言が噴出したことで、明るみになりつつある。マッキンゼーの方針でまず驚きなのが、同じ業界の競合する複数の企業に、あるいはその業界と業界を規制する政府機関の双方に同時にコンサルティング契約を結んでいること。…
posted at 12:39:28
…内部の別チーム同士のあいだで情報を漏らさないようにしているので大丈夫、だという主張なのだけれど、たとえばタバコ産業に対して売り上げを増やすためにより若い人をニコチン漬けにする方法を指南する一方で(日本たばこ産業株式会社 =JTもお世話になってる)、…
posted at 12:39:29
…同時に公衆衛生行政に対して若者の喫煙を減らすためのアドバイスをする、というような商売をして双方から巨額のコンサルティング料を取るといったマッチポンプはさすがにひどい。オピオイド危機 books.macska.org/evan-hughes%e8… を生み出したとして批判されているパーデュー・ファーマの過剰な拡販戦略を…
posted at 12:39:29
…アドバイスしつつ(ただしコンサルタントとしてマッキンゼーは自らの名前を出すことはできないので、かわりにジュリアーニ元NY市長 books.macska.org/andrew-kirtzma… がスポークスパーソンとして起用された)、同時にオピオイド依存を減らすための政策の策定にも参加していた、というのも同じ構造。…
posted at 12:39:29
…守秘義務という口実により、こうした二重契約の存在は政府に対して開示されなかった。本書ではほかにも、2008年の金融危機を招いた債権証券化や、石炭産業による気候変動対策への妨害、巨額の不正経理により2001年に破綻したエンロンの経営戦略、…
posted at 12:39:30
…カメラを使ったサイン盗みが発覚して大きなスキャンダルに発展したプロ野球球団ヒューストン・アストロズのデータ戦略など、多数の事件やスキャンダルにマッキンゼーが関与していたことを指摘している。David J. Berardinelli著「From Good Hands to Boxing Gloves」ではオールステート保険会社の…
posted at 12:39:30
…利益を増やすために「金銭的に余裕がなくて少額の保険金に飛びつきそうな顧客」を狙い撃ちしてわざと本来より安い保険金支払いを提示するという戦略をマッキンゼーがアドバイスしたことが書かれているし、アメリカ移民局のコスト削減のために収容所に収容されている移民たちの食費を減らすなどの…
posted at 12:39:30
…提案をして、移民に厳しいことで知られる警備員ら移民局職員からも「それはない」と反論されている。マッキンゼーはアメリカ以外にもイギリスの国民健康サービスの「効率化」を推進したり、南アフリカでは政府予算を私物化する政府高官と組んで多額のコンサルティング料をせしめるなどしたほか、…
posted at 12:39:30
…交通の効率化と犯罪取り締まりの強化という口実で中国政府が行っている新疆ウイグル自治区の市民監視システム books.macska.org/geoffrey-cain%… 設計に加担したり、ロシアやウクライナの親ロシア派のヤヌコヴィッチ大統領ら books.macska.org/marci-shore%e8… に助言をしたり、…
posted at 12:39:30
…2016年のブレクジットやトランプ当選のために暗躍したデータ分析業者ケンブリッジ・アナリティカ books.macska.org/sheera-frenkel… と組んでサウジアラビアの反体制的な人の情報を集めて同国の最高権力者ムハンマド・ビン・サルマーン王太子 books.macska.org/gideon-rachman… に提供したりと(その結果、何人かは…
posted at 12:39:31
…サウジアラビア政府により殺害される)、やばい話が次々と出てくる。一応言っとくけどこれ、変な陰謀論者の本ではなくて、ピュリツァー賞を何度も受賞している実績ある調査報道ジャーナリストの本だよ。マッキンゼーがこれだけの世界的な問題に関与してきたことが明らかになったのは、…
posted at 12:39:31
…ジャーナリストの努力や元関係者の告発ももちろんだけれど、南アフリカ政府による腐敗追求がきっかけ。アパルトヘイト撤廃後の南アフリカ共和国は腐敗の横行する酷い国になった、という批判がよく聞かれるけれど(そしてそれはおそらく黒人による統治を信用しない、中傷したくてたまらない、…
posted at 12:39:31
…白人たちのやっかみが大きいと思うけど)、ほかのどの国の政府もできなかった捜査を南アフリカ政府は実行して、マッキンゼーが政府高官による国家財政の私物化に加担してその分け前を吸い上げていたことが明らかになった。南アフリカさすが books.macska.org/evan-lieberman… 。マッキンゼーは…
posted at 12:39:32
…現地のスタッフが勝手にやったことで自分たちはむしろ被害者だ的な態度を取ったけれども、そこではじめてマッキンゼー内部の動きが少しだけ明らかになった。そして次はアメリカで起きたパーデュー・ファーマによる悪質な販売戦略に対する訴訟のなかで、パーデュー・ファーマとマッキンゼーの…
posted at 12:39:32
…あいだのやり取りや、マッキンゼーが行ったプレゼンテーションの資料などが多数公表された。それによりマッキンゼーが誇った守秘義務という盾は綻びはじめ、ジャーナリストによるさらなる取材が可能になった。…
posted at 12:39:32
…いや以前からマッキンゼーやばそうって思ってたけど、思ってた以上にやばかった。企業に対するコンサルティングはともかく、少なくとも政府に対するコンサルティングはどの国の政府に対するものであっても透明性が必要だと思う。
posted at 12:39:32
@tigersharkNY なにを言っているのかわたしにしか伝わらないw
posted at 12:53:28
@tigersharkNY てか、たいがーしゃーくさん、この本たぶん好きだよ。読んでみて。
posted at 12:54:33
@tigersharkNY がんばって!あと、それ終わったら感想書いて!
posted at 12:57:32
マッキンゼー、アパルトヘイトで世界中から孤立していた時代の南アフリカ政府にコンサルティングを依頼されて、最終的に「経済制裁破り」として会社の評判が落ちることを恐れて断ったのだけれど、そのときマッキンゼーが「南アフリカ政府との契約を受けるかどうか」の判断を任せたのが、…
posted at 13:13:38
…当時まだ20代中盤だったスーザン・ライス(オバマ政権の国家安全保障補佐官・国連大使でクリントン政権の国務次官)だったらしい。20代の黒人女性に「アパルトヘイト政権に協力して売り上げを伸ばすべきかどうか判断しろ」って要求する上層部どうかしてるわ。
posted at 13:13:39
あと、ピート・ブーティジェッジが大統領選挙に出ていたとき、マッキンゼーで働いていたときにどういう顧客のために働いていたのか公開しろ、という要求が広まって、例外的にマッキンゼーから許可を得て公開してた。まあ普通にレイオフを行った企業があったりして批判はあったけどそれだけだった。…
posted at 13:31:23
…ブーティジェッジ陣営の広報官をしていたLis Smithの本「Any Given Tuesday」 books.macska.org/lis-smith%e8%9… でもその件に触れられていて、一度公開しないと決めたのに批判されて公開することにしたのはブーティジェッジらしくなかった、と書いてある。…
posted at 13:31:23
…エリザベス・ウォレンやメディアから「マッキンゼーにいた時なにをやっていたのか公開しろ」と批判されて、側近はみんな「なにかを隠していると思われるのはまずい」と公開するよう提言。でもブーティジェッジは自分は秘密を守ると約束したのだから、あとから「あれは無しにしてくれ」とは…
posted at 13:31:24
…言えない、として公開しないと表明。議論は続き、「マッキンゼーに顧客リストを公開していいかどうか聞いてみる」という中間案に落ち着いた。そして、マッキンゼーは当時の顧客にも確認を取ったうえで公開して良いと発表したけれど、そのときブーティジェッジの側近たちは…
posted at 13:31:24
…「自分たちは短期的な人気取りのために、ピートに自分自身のあり方を曲げさせてしまった」と後悔した、とSmithは書いている。
posted at 13:31:24