Daryl Joji Maeda著「Like Water: A Cultural History of Bruce Lee」 books.macska.org/daryl-joji-mae… 来年で若くして亡くなってから50年を迎える武道家・俳優ブルース・リーについての、アジア系アメリカ人研究をしている著者による本。単なる伝記にとどまらず、香港とアメリカ西海岸における植民地主義や… pic.twitter.com/lP9w7MPCfs
posted at 12:53:06
…アジア人排斥と抵抗の歴史を踏まえたうえで、アメリカを興行中の両親のもとにサンフランシスコで生まれ香港で育ちシアトルで頭角を現したハイブリッドな武道家であるブルース・リーがどのように位置づけられるのか、さまざまな流派を学ぶとともにワシントン大学で哲学を勉強した(中退した」けど)…
posted at 12:53:07
…かれがどのようにして自身の哲学を築いたのか掘り下げられている良著。わたしはシアトルに住んでいて、ブルース・リーが地元のヒーローの一人として崇められていること、かれのお墓がシアトルにあることは知っていたけれども、かれの人となりや作品はよく知らなかった(かれの映画を観るより、…
posted at 12:53:07
…のちに作られたほかの映画のネタ元になっている、みたいな感じで見聞きしたことのほうが多いくらい)のだけれど、本書でシアトルのアジア系アメリカ人の歴史、そしてそのなかでアジアのさまざまな国や地域からの移民たちがお互いに祖国から持ち寄った格闘技の伝統間の交流が果たした…
posted at 12:53:07
…大きな役割について知ることができたことがとてもうれしい。わたしが知っているチャイナタウン周辺の地名やストリート名、地元シアトルで有名な歴史上のアジア系アメリカ人の人名も本書にたくさん登場し、わたしが知っているシアトルのアジア系コミュニティやその歴史のなかにブルース・リーが…
posted at 12:53:08
…結びついた。アジア系移民の歴史は植民地主義や人種差別の歴史と切り離すことができない。ブルースが育った当時の香港がイギリスの植民地だったことは言うまでもないけど、アメリカで最初にアジア系移民が増えたのはアメリカ合衆国による西方拡大(先住民の土地やメキシコ領の簒奪)と…
posted at 12:53:08
…奴隷制廃止の結果必要になった安い労働力を導入するためだし、独立国だったハワイ王国を植民地化したハワイにも白人が所有するプランテーションの労働力としてアジアの人々が連れ込まれた。そうして増えた中国系・日系・沖縄系・フィリピン系などのアジア人移民たちは、労働搾取を容易にするために…
posted at 12:53:09
…白人たちによって対立させられ、また19世紀後半からは中国人排斥法などの法律によってかれらの入国が厳しく制限された。そうしたアジア系移民たちが持ち込んだ格闘技のなかには、沖縄空手やヌンチャクなどもともと(島津藩の)植民地支配や圧政に対抗するために刀剣や銃を持たない民衆が…
posted at 12:53:09
…生み出したものもあり、アジア系移民たちは格闘技の決闘を通してそれぞれの民族文化の優位さを競い合うとともに、お互いの技を学びあった。第二次世界大戦後は日本や朝鮮半島に駐留して現地の格闘技に触れたアメリカ人の退役軍人たちもそこに加わり、とくに厳しい差別に苦しんでいた黒人たちの…
posted at 12:53:09
…あいだでアジアの格闘技が白人至上主義と戦うための武器として認識されるようになった(ブルース・リーやカンフー映画に影響を受けたWu-Tang Clan books.macska.org/raekwon%e8%91%… もこの流れにある)。…
posted at 12:53:10
…アジアの格闘技だけでなくモハメド・アリ books.macska.org/stuart-cosgrov… の映像を取り寄せてかれのボクシングの動きを取り入れるなどした武道家として注目を集めると、ハリウッド映画のスターになることを目指しす。ブルースは香港では子役として多数の作品に出演していたけれど、…
posted at 12:53:10
…ハリウッドではアジア系アメリカ人は脇役としてしか採用されないという問題に直面。アジア系アメリカ人男性は優秀だけれど大人しくなよなよした性格、というハリウッドのステレオタイプに対抗して、強さと複雑さを兼ね備えた新たなアジア人男性像を提案するも、自身が考えた企画はボツに。…
posted at 12:53:10
…仕方なく香港に戻って主演した映画が世界的にヒットしてはじめてアメリカ本国でも認められるようになるころには、かれは若くして急死してしまった。しかしかれの名言「水になれ」は特定の形を取らず柔軟に状況に対応しつつも硬い岩をも削るというシンボリズムから…
posted at 12:53:11
…香港の民主化運動 books.macska.org/louisa-lim%e8%… のスローガンとなり、ブラック・ライヴズ・マター運動にも影響を与えているように、かれの哲学と生き方はいまでもアジア人だけでなく不条理と戦う世界中の人たちの共感を集めている。シアトルでは観光客向けにブルース・リーゆかりの地をめぐるツアーが…
posted at 12:53:11
…組まれていて、たとえばかれが贔屓にしていたチャイニーズレストランがインターナショナルディストリクト(シアトルのチャイナタウン、日本街、リトルサイゴンを含めた地域)にいまでもあり、かれがよく注文していたメニューを頼むことができるらしい。わたし自身、これまでブルース・リーについて…
posted at 12:53:12
…ほとんど意識してこなかったのだけれど、シアトルのアジア系アメリカ人コミュニティで生きた先人として敬意を払うために、本書を読み終わったその日のうちにかれのお墓にお参りしてきた。(左がブルース・リーのお墓。右は撮影中の事故で1993年に亡くなった息子のブランドン・リーのお墓。) pic.twitter.com/etiqwRk5Rk
posted at 12:53:12
ジミ・ヘンドリクスのお墓はレントンにあるのか… カート・コベインはブルース・リーと同じ墓地に断られて(これ以上観光客が来るのは困ると言われたらしい)少なくとも公的には墓地はない様子。あとシアトルの人って誰がいるかな?
posted at 12:58:51
ちなみにわたしがブルース・リーのお墓に行ったとき先に来ていたのはガイドブックを持ったイタリア人女性だった。わたしがその場を離れようとしたら、ちょうど同時に家族連れが来た。水曜日の午後でこれ。
posted at 13:00:33
イタリア人旅行者に「わたしシアトルに住んでるけどブルースのお墓に来るの初めてなんですよ」って言ったら、彼女も「ローマに住んでるけど地元の有名な観光地にはほとんど行ってない」って言ってた。いやいやそれは勿体無さの桁が違うから!
posted at 13:27:40
シアトルのインターナショナルディストリクトにあるアジア系博物館Wing Luke Museumで7月からブルース・リーについての新しい展示が始まっているのだけど、本を読んでから行こうと思ってこの本が発売されるのを待ってたの www.wingluke.org/exhibit-be-wat… pic.twitter.com/eG2InTscYL
posted at 13:59:21
キング郡検察官に立候補している韓国系アメリカ人の候補の人が選挙イベントやってたこの会場も、実はWing Luke Museumの多目的室だったりする twitter.com/emigrl/status/…
posted at 14:01:35
Wing Lukeといえばアジア系アメリカ人博物館、と思っていたけれど、このWing Lukeというのは中国系アメリカ人の政治家で、ワシントン州司法次官(公民権担当)・シアトル市議だったとこの本ではじめて知った。アジア系アメリカ人としてワシントン州ではじめて選挙に当選した人。
posted at 14:05:01
もう1人この本で知ったのは、Ruby Chowという中国系アメリカ人女性 en.wikipedia.org/wiki/Ruby_Chow 夫とともにレストランを開いたんだけど、その屋根裏部屋にお金のなかった頃のブルース・リーが住んでいた。キング郡議員になり、Wing Lukeやのちの州知事ゲリー・ロックらアジア系政治家たちのメンターに。
posted at 14:09:09
…とここまでは本に書かれていたんだけど、Wikipediaによると彼女が郡議会議員に立候補した際、のちにシリアルキラーとして知られるテッド・バンディが「共和党から立候補したほうがいい」と彼女にアドバイスしてきたらしい。なにそれ!
posted at 14:10:49
本にも書かれていたけど、Ruby Chowはチャイニーズレストランの同業者たちと協力して、「Wing Lukeに投票しよう」というメッセージをフォーチュンクッキーに入れたらしい。すごいなそれ…
posted at 14:14:18
ブルース・リーゆかりの地シアトル編 bruceleewashere.com/seattle いまはない建物も多いけど、知ってる場所ばかり。ほかにもサンフランシスコ、ロサンゼルス、香港などもリストアップされてる。
posted at 14:25:27
Skye C. Cleary著「How to Be Authentic: Simone De Beauvoir and the Quest for Fulfillment」 books.macska.org/skye-c-cleary%… 最近の過激フェミニスト「シモン・デビューボ」 macska.hatenadiary.org/entry/20060126… ことシモーヌ・ド・ボーヴォワールの実存主義哲学を参照しながら… pic.twitter.com/tLjhiWV71k
posted at 15:06:47
…「オーセンティックに生きるとはどういうことか」問う本。著者はバーナードカレッジで教える哲学者なのだけれど、その前に軍に入って訓練を受けてたり、ウォールストリートでトレーダーをやったりと哲学者には珍しいくらい社会経験が豊富すぎて、え、この人なんの人だっけ?と何度か思わされる。…
posted at 15:06:47
…ボーヴォワールといえば「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という有名な名言が書かれている『第二の性』(この言葉は第二巻まで出てこないけど)がよく知られていて、第二波フェミニズムに大きな影響を与えたことや、同じく実存哲学者のジャン=ポール・サルトルとお互いの…
posted at 15:06:48
…性的自由を認めつつ生涯のパートナーとして過ごしたことなど、当たり前のことは知っているけれども、『第二の性』以外の著書についてはあまり良く知らないし、彼女が書いた小説は一度も読んだことがない。いちおーフェミニズム理論をべんきょーしているわたしがそれでいいのか、…
posted at 15:06:48
…という問題はさておき、ボーヴォワールの実存主義に正面から向き合う本書は貴重。哲学的な本を短い紹介でまとめることは無理が過ぎるので詳しくは述べないけれども、ボーヴォワールが語る「自由」や「オーセンティシティ」はただ単に自分のやりたいことをやりたいようにやる、という意味では…
posted at 15:06:48
…もちろんなくて(そもそもそんな「自分」ははじめから決まった欲求を持って存在するのではなく、行動によって作られていくものだし)、そこには他者を自分と同じように実存を抱える人間として認めることが前提にあり、自分とともに他者の自由を尊重し、また自分だけでなく他者の自由への不正な…
posted at 15:06:49
…侵害を取り除く責任が求められる。いやまあそう言うと当たり前なんだけど、そこには『第二の性』に通ずる、ボーヴォワール自身の女性としての経験から得られた識見が根底にある。ボーヴォワールの思想についての詳しい議論は本書(とボーヴォワールの著書)を読んでほしいのだけれど、この本では…
posted at 15:06:49
…著者が自身の経験を例に挙げてそれらを解説している。のだけれど最初に書いたように著者の経験が多様すぎて、ときどき別の方面が気になってしまう。あと、ボーヴォワールの議論がヨーロッパのエリート白人女性の経験を元にしていて、非白人女性や貧困層の女性らに批判されている、というのも…
posted at 15:06:50
…紹介するのだけど、紹介しつつ著者自身もエリート白人女性であることを自覚して言い訳がましくなったり、ボーヴォワールが特に発言していない問題について(たとえばトランスジェンダー「問題」 books.macska.org/shon-faye%e8%9… )彼女ならこう言うだろう、と雑に想像している部分は余分だった気がする。
posted at 15:06:50
半面というか、バトラーが後付けで軌道修正した部分な気もする。 twitter.com/akishmz/status…
posted at 20:43:12
そういえば以前、探偵ナイトスクープの違法アップロード動画で、ある年代の女性はみんなピンクレディを踊れる、男性はブルース・リーのモノマネができる、というのをYouTubeで観てめっちゃ笑った覚えがあるんだけど、いま探したら見つからない… 違法だから削除されたのなら仕方ないんだけど。
posted at 21:03:03
わたしより上の世代なんだけど、UFOのイントロを聴いたおばちゃんが突然踊り出して、娘が「え、なにそれ」って驚いてたの観た記憶が。
posted at 21:04:25
まじ?すごいなピンクレディー。 twitter.com/kogule/status/…
posted at 21:19:12