Maggy Krell著「Taking Down Backpage: Fighting the World’s Largest Sex Trafficker」 books.macska.org/maggy-krell%e8… 性労働者が宣伝に使っていた掲示板サイトBackpageを2018年に閉鎖に追い込んだカリフォルニア州の検察官による本。先に主流だったCraigslistというサイトがアダルト広告セクションを… pic.twitter.com/0g3LoWTCzv
posted at 07:09:28
…閉鎖して以来急成長したBackpageだが、性的人身取引の道具として使われているという批判があったが、連邦法によりオンラインプラットフォームを提供している企業はユーザーがプラットフォーム上で行った犯罪行為の責任を負わないことになっているので法的責任を逃れていた。…
posted at 07:09:29
…著者は人身取引の捜査を通して多数の被害者の声を聞き、Backpageを「世界最大の性的人身取引組織」として取り締まろうとする。実際のところBackpageは警察による人身取引捜査には協力しており、複数の法執行機関から捜査協力を称える賞も受け取っていた。…
posted at 07:09:29
…通常の手法ではBackpage経営陣の責任を問うことはできないので、著者はあの手この手で「創造的な法的追求」を巡らせる。サイト閉鎖のきっかけとなったのは、二人のBackpage創業者から雇われて実務を担当していたエンジニアとの司法取引に成功したから。…
posted at 07:09:30
…創業者たちは責任を逃れようと書類上そのエンジニアに会社を売却したことにして、ただしその代金の借金返済という形でサイトの利益のほとんどをかすめ取るような仕組みを構築していた。一人で全責任を負わされたエンジニアをマネーロンダリングや売買春幇助(性的人身取引ではない)の罪で…
posted at 07:09:30
…訴えることで司法取引に追い込み、サイトの閉鎖と創業者に対する捜査協力を取り付ける。その創業者に対する裁判だけれど、マネーロンダリングや売買春幇助の罪でしか起訴できなかったのに、検察側が裁判で容疑とは関係のない「子どもの性的売買」に繰り返し言及し…
posted at 07:09:31
…陪審の心証を操作しようとしたとして、判事によって審理無効が宣言された。本のなかではBackpageが犯罪によって溜め込んだお金は被害者たちに還元されると著者は主張するけれども、実際には一銭も還元されていないし、今後されるかどうかもわからない。また、…
posted at 07:09:31
…Backpageのせいで「子どもたち」がこんな酷い目にあっている、というなかで、「Backpageのせいで性的人身取引の被害にあった子どもたちが売春罪で捕まって牢屋に入れられている」と書いているのだけれど、それってBackpageのせいじゃなくて、彼女のお仲間の法執行機関のせいだよね。…
posted at 07:09:32
…「子どもの性的売買」について感情に訴えるアピールをしながら実際には人身取引と関係のない性売買の幇助で裁判を起こしたこの姿勢は、「子どもを守るため」との口実で多くの性労働者が生活のために必要としていたBackpageやその他のサイトを閉鎖したり、…
posted at 07:09:32
…それらのサイトの銀行取引を停止させるなどの法廷外の彼女の行動と共通している。個人が安い手数料で宣伝できるサイトを閉鎖したりクレジットカードや銀行を使った宣伝費用支払いを妨害すると、顧客リストを握っていてビットコインでの支払いにも強い第三者による性労働者への支配が…
posted at 07:09:33
…強まり性的人身取引を増やすことになる、という点は無視している。実際Backpageが閉鎖された時はコミュニティ全体が一度に収入を失い家賃や食費が払えなくなって大変なことになったのだけれど、それに便乗して「助けてやろうか」と近づいてくるピンプが結構いた(わたしは当時シアトルで、…
posted at 07:09:33
…たまたまあった性労働者支援のためのグラントの資金を100万円ばかり性労働者たちにバラまいたけれど、それでは全然足りなかった)。本の終盤で、Backpageの閉鎖と連邦法の改正、責任者の起訴までこぎつけたので、検察官としての目的は果たしたとして民間団体の誘いに応じて転職したことが…
posted at 07:09:34
…書かれているんだけど、これだけ強引に制度を悪用してBackpageを追い込んでおきながら裁判では負け続けているので責任取らされたんじゃないの?としか思えない。ちなみに今年、カリフォルニア州では…
posted at 07:09:34
…人種的プロファイリングと警察官による性労働者への嫌がらせや暴力・性行為強要の温床となっている「売買春を目的とした徘徊罪」の廃止が議論されているのだけれど、著者はこの法案にも「性的人身取引の捜査を困難にする」として反対している。 www.latimes.com/california/sto…
posted at 07:09:35
ちなみにわたしは今週、某全国的な性労働者運動団体の前代表が起こした問題の関係で暗躍wしてた。その人、団体のお金を流用しただけじゃなくて、それが発覚して解任されたのに銀行口座やデータを全部持ち逃げしてしまった。…
posted at 07:16:45
…それだけでなくて非営利団体の運営上問題のあることをいろいろやってて、いまテキサス州、ネヴァダ州、フロリダ州の3州で捜査対象になっている。前代表やこの団体が潰れるだけならまだいいんだけど、困ったことに…
posted at 07:16:46
…その団体は多数のほかの(インフラが弱い草の根系の)グループの金銭面を管理していて、それらの団体を道連れにしてしまう恐れもある。というわけで、それらの団体の受け皿となるような組織を他に準備したり、性労働者団体への資金援助をしている財団にも何がおきているか教えたり、みたいな暗躍中。
posted at 07:16:46
毎年スーパーボウルが行われるたびに「多数の女性や子どもが開催地に送り込まれ売られる」というデマが繰り返されていて、それに応じて現地の警察が性売買の取り締まりを強化することから、「逮捕された性労働者の保釈金を払うため」として某性労働者団体の名前を使って前代表が募金を集めている。…
posted at 07:50:00
…そうして集まるお金(現時点で200万円ほど)がどこに行くのか誰にもわからない、というのは問題なんだけど、それ以前の話として、今年のスーパーボウル開催地はLA(イングルウッド)で、LA郡は現在性労働者を逮捕しない政策を取っているんだよね… だからそもそも保釈金は必要ないはずなんだけど。
posted at 07:50:00
「スーパーボウルのために数万人の女性や子どもが性的人身取引される」というデマ、はじめはドイツで行われた2006年ワールドカップに関連して、ドイツでは当時売買春が合法化されたばかりだったので、それに反対する人たちが言い出したことなんだけど、その後行われた調査で完全に否定された。…
posted at 07:56:12
…これはその次の南アフリカでも問題とされ、それもまた調査によって完全に否定された。ところがワールドカップで起きるならスーパーボウルでも?という考えからか、同じことがスーパーボウルでも毎年言われるようになったんだけど、アメリカ人、ワールドカップの規模分かってなさすぎ。…
posted at 07:56:12
…ワールドカップって、一つの国のなかで何箇所もの会場で長期間にわたって何十試合も行われるわけだけど、スーパーボウルって一都市で年に一度行われるだけじゃん。仮に性的人身取引で儲けようとする人がいたとして、どう考えても経済的インセンティヴが桁違いなんじゃないかと思うんだけどね。…
posted at 07:56:13
…まあどっちにせよ、オミクロン全盛のなかでスーパーボウルなんてやるなよって思うんだけど。
posted at 07:56:13
「アジア系への暴力ヘイトクライムの現場を撮影した映像を見る限り、加害者には黒人男性が多かった」と書かれているけれど、統計的には事実ではない。黒人の犯罪ばかりがやたらと騒がれる風潮の一環。あとレイシストたちが「ほらみろ黒人のほうがレイシストだ」と利用してる。 wezz-y.com/archives/94305/2
posted at 12:59:24
これは少し古いデータしかないけどFBIの統計でもそうだし、アジア系アメリカ人向けニュースサイトの記事 asamnews.com/2021/05/22/fin… やメリーランド大学の研究者によるまとめ docs.google.com/document/d/19l… も参照。
posted at 12:59:24
よく「アジア系アメリカ人に対するヘイトクライムは黒人によるもの」という主張の根拠として挙げられている論文があるんだけど、それは黒人やラティーノに対するヘイトクライムに「比べると」白人による犯行が少ない、というもので、それでも全体の75%は白人によるもの。 www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/P…
posted at 13:03:43
Danielle Friedman著「Let’s Get Physical: How Women Discovered Exercise and Reshaped the World」 books.macska.org/danielle-fried… 女性のエクササイズ文化の歴史についての本。女性とアルコールの歴史について書かれた「Girly Drinks」を読んだときも思ったけど、女性史のなかでも… pic.twitter.com/vGf8eXLjUc
posted at 13:56:31
…特に興味を持っていなかった分野についての本がこんなにおもしろいとは驚き。歴史的に白人女性たちは汗を見せるのははしたないとされ、また走ると子宮が地面に落ちるなどと言われてスポーツへの参加を禁じられてきたなか、性別を問わず運動が奨励されるようになった背景や、…
posted at 13:56:32
…マラソン、エアロビクス、ボディビルディング、そしてヨガなどが女性たちに広まるのに貢献した女性たちについて語られる。第二次大戦後、兵役を終えた男性たちが帰国すると、それまで人手不足に陥った工場などで労働者として「男らしく」働いていた(白人)女性たちは職を追われ、…
posted at 13:56:33
…郊外型ライフスタイルにおける主婦の役割を新たにあてがわれる。その新しい「女らしさ」の不自由さと息苦しさを訴えたのが第二波フェミニズムの重要人物の一人であるベティ・フリーダンだけれど、同じ時期に労働の変化による運動不足と加工食品の普及による健康被害が問題とされていた。…
posted at 13:56:33
…オリンピックでソ連にメダルの数で上回られたことに危機感を感じたアメリカ政府は国民にエクササイズの奨励をはじめ、それに便乗するかたちで女性たちが汗を流すことが認められるようになる。それでも長距離走は女性には向かないなどと言われ、女性であることを隠して選手登録した人が…
posted at 13:56:34
…ボストンマラソンに参加中に運営者によってタックルされたりも。その後、女性運動の高まりや女性テニス選手のビリー・ジーン・キングが男性元チャンピオンを倒したことなどを通して女性の競技参加を求める声が高まり、現在に至る。エアロビクスやフィットネスエクササイズの歴史も、…
posted at 13:56:34
…反戦運動への関わりから北ヴェトナムに渡って戦車の上で写真を撮られ「売国者」として叩かれた女優ジェーン・フォンダがエアロビクスを通してイメージ更新に成功し、さらにはエクササイズビデオの市場を作り上げるなど大きな影響を持ったという話などおもしろい。マラソンよりさらに…
posted at 13:56:34
…「女性に向かない」と思われがちなボディビルディングについては、初期の女性競技者を当時男性ボディビルディングチャンピオンだったアーノルド・シュワルツェネッガーが応援しただけでなく、かれが俳優として出演した「ターミネーター2」で登場人物のサラ・コナー(リンダ・ハミルトン演)が…
posted at 13:56:35
…第1作のあとにエクササイズによって筋肉を付けていたことが話題となり「女性の身体のあり方」に一石を投じるなど、シュワルツェネッガーが意外な影響を与えていたり。女性のエクササイズ文化には、エクササイズにより自分の体を知り、受け入れ、自信を持つというポジティヴな側面と、…
posted at 13:56:35
…理想とされる体型に近づくために体重を減らしたり特定の部位を細くしようとしたりする強迫的な側面がある。ボディビルディングなんて特に、自分の体を鍛えコントロールするという自己肯定的な面があるものの、実際の試合では審査員に体を評価されるわけで(しかも女性の…
posted at 13:56:36
…ボディビルディングでは男性に比べて審査に美容的な要素が多い)、女性解放運動が反対していたミスコンテストとよく似ている。あるとき女性ボディビルダーがプレイボーイ誌に裸で登場し、女性の美しさは一律ではない、と訴えたとき、フェミニストたちはどう反応したらよいか困ったという話も。…
posted at 13:56:37
…とはいえ、特定の美のあり方を押し付ける世間の風潮にときに迎合しつつ、同時にそれに抵抗するような、女性エクササイズ文化の先駆者たちの取り組みは学ぶところが多い。本は最終的にコロナ時代のエクササイズ文化の話となり、zoomを通したエクササイズクラスや、…
posted at 13:56:37
…TikTokなどで繰り広げられるより多くの身体に開かれたボディ・ポジティヴなエクササイズ文化について取り上げる。また、近年マドンナなどの影響によりヨガが多くの女性たちに受け入れられるなか、西洋人によってヨガが文化的に簒奪され商業化されたことへの反省から、…
posted at 13:56:38
…ヨガを生み出した南アジアの精神文化へのより深い理解と尊敬を伴うあり方の模索についても。わたしはグループエクササイズには興味がないどころかはっきりと嫌いだし、そもそも身体的にも無理なんだけど(クラゲみたいなゆっくりとした水泳もどきだけはなんとかできるけど、…
posted at 13:56:38
…水中エクササイズにもついていけない)、読みながら「体がもっと丈夫だったころに参加しておきたかったかも!」と思った。あと関係ないけど(いや、あるか?)、この本を読み始めてから、頭の中で常にオリビア・ニュートン・ジョンが流れていて止まらない。どうにかしてくれ。
posted at 13:56:38
Olivia Newton-John - Physical www.youtube.com/watch?v=k4pkxg… このミュージックビデオ。太った男性たちをエクササイズインストラクターのオリビアが指導して痩せさせたら、最後は痩せた男性が手を組んで出ていく、というファットフォビックな内容(で、ホモフォビックなのか進歩的なのかは判断が分かれる)
posted at 14:02:06
本によると、オリビア・ニュートン・ジョンはこの曲を聴かされてすぐに気に入りレコーディングすることにしたけど、あとになってあまりに性的な歌詞がやばいと感じた彼女は、そうだlet's get physicalというのをエクササイズしようという意味に変えたらいい!と気づいてそういうMVを撮ったらしいw
posted at 14:06:25
自分の中のアニマルがどうとか、おしゃれなレストランに行っていい雰囲気になったからもう横になろうとか、歌詞を読んだら明らかにセックスの話であって、エクササイズの話じゃないんだけど、それをすり替えたあのミュージックビデオは偉大だわ。
posted at 14:11:01
今日紹介した2冊の本は、はじめてわたしが紹介した「2022年に出版された本」でした。
posted at 14:34:05